ISHII SATOSHI -Kawa no Maker- >> Fly Fishing >> column:燻製
秋や冬の穏やかな一日、管理釣り場で魚と向き合うのは癒しだ。自然の中にある管理釣り場では、新鮮な空気の中で誰でも気軽に魚釣りを楽しめる。充実した一日になるし、魚まで手に入る。
以前の私は管理釣り場の魚を持ち帰らないことが多かった。でも、最近は自炊をするようになり、魚の美味しい食べ方を見つけるのが楽しくなった。自分で素材を手に入れ、工夫して調理し、美味しいものを食べるのは大きな喜びになっている。「ヒトが昔から味わってきた変わらない喜びなのだ」なんて得意になるのも楽しい。
燻製はアウトドアらしい楽しみ方の1つで、紹介されることも多い。それを参考に、私もニジマスで燻製を作ってきた。燻製は独特の風味が美味しい。燻製のやり方は、調味液で塩分を味を整え、水分を抜き、温燻や冷燻といった加温の有無はあるけど煙で燻す。これで調味と保存の効くものになる。冷燻のニジマスを初めて食べた時、生ハムだと思った。煙の風味のある味わいは、大量に食べるものではないが独特の美味しさがある。
ある時、友人との集まりで本物の囲炉裏を囲んだ。その囲炉裏に吊り下げられていたヤマメを食べたけど、驚きの美味しさだった。2,3カ月前に釣ったヤマメだそうで、囲炉裏にずっと吊り下げられていたとのこと。火の通った温燻で、空気中の湿気を吸った程よい乾き具合の食べ応え。味は旨味がとても強い。どんな味付けをしたのか聞くと、塩のみとのこと。なぜこんなに美味しいのだろうと驚いた。囲炉裏の雰囲気の良さ考慮しても、自分が作った燻製よりも美味しかった。
それから何年か経ち、私は麹にも興味が湧き、パンや味噌も作るようになった。旨さを引き出すには熟成が欠かせない。仕込んだ時の若い味は、熟成すると自然な旨みになる。あの燻製は、2,3カ月の時間が経ってタンパク質が分解され、アミノ酸といった旨み成分になったのだと思うようになった。カツオ節は燻製に似ていて、熟成で旨みが増す。あの燻製にはカツオ節のような旨みがあった。
燻製以外の保存方法に塩漬けもある。塩漬けも昔からの保存方法だけど、冷蔵庫やスーパーがある現代では採用される機会が減った。けれど、管理釣り場で多くの魚を釣った時の保存手段として、また素材を熟成させる調理手段として高いポテンシャルがある。次の機会は、塩漬けについて書こうと思う。
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