ISHII SATOSHI -Kawa no Maker- >> Fly Fishing >> column:源流にはショートロッドとかいう話
ショートロッドは好きだろうか。
短いロッドは、最初にぱっと振ってみた時の驚きや新鮮な感覚は楽しい。でも、結論を先にしてしまうと、その後使ううちに私は不便さを感じた。そして、長く愛用するロッドにはならないと思ってしまった。
私が一緒に釣りをした人達を見ても、短いロッドを多用してる人はいなくて、メインで使っているロッドが7ft以下という人はいなかった。源流と言われるような場所でも、いつも使っているロッドで枝葉をくぐって巧みにフライを流していた。
ロングティペットでのリーダーとフライラインとの接続部分がティップから出ないことは、ショートロッドの扱いにくさの1つ。
ヨーロッパかどこかの平坦な台地をゆったりと流れる川ならば、行ってこいで投げる感じでショートロッドにも合点がいくと思う。10ヤード以上先のポイントを、メンディングせずに流し、流し終えたらまた投げるスタイルの釣り。ドリフト中にロッド操作はせず、周囲に障害物が少ないフィールド。長いロッドである必要はない。
日本の源流で、短いロッドが良いという人は、どんな源流を指しているのだろう。樹木に覆われた枝沢を指しているのかな。規模は5メートルも投げない感じ。それなら短いロッドもいいけど、それ以前にフィールド自体の面白さが気になる。私が思う源流は、樹木も覆いかぶさりつつも、場所によっては3メートル以上の岩も転がるし、崩落したところもあれば、急に開けたところもある変化のあるフィールドをイメージする。
スレてない魚なら、近寄って適当に流してもいいんだけど、それはつまらない。プレッシャーはあり、ミスったら釣り損ねる方が面白いと思う。
大岩が転がってる川だと、手前の岩や速い流れをパスしにくい短いロッドは使えない。ロッドを前後に振れない川ならまだしも、短いロッドなら振れる川であれば、長いロッドでもティップストロークが通るように自分が岸寄りとかにポジションを取ればロッドを振れる。
ロッドの長さはどうであれ、水面より上で枝がないところまでの、ラインを通せる空間にロッドティップとフライラインを通せばいい。
短いロッドの弱点として、ロールキャストやロールメンディング、ピックアップをこなしにくい。短いロッドでやろうとすると自分の体の近くにラインが返ってくる。長いロッドなら真っすぐ自分の方に戻すこともできるし、左右自分と離れた位置でラインをやりくりすることも出来る。自分は草や枝の中に入って、ロングロッドのティップを外に出すことが出来る。
メンディングにしても、長いロッドなら小さくも大きくもメンディングできる。
短いロッドはアクションがファストになるので、素材をグラスにしたりするけど、どうしてもストロークの入力時間が短くて扱いにくい。多少モタモタしたロッドの方が入力時間が長くてコントロール修正がしやすい。
お客さんやフライの経験が少ない人には、源流は短いロッドですよねと言われることもある。上記のように考えている私は、「私はショートロッドは使わなくて、源流ではこうで、」と、上手く伝わってないかなぁと思いつつも回答させていただくことも多かったので、文字にしてみた。
ショートロッドはラインを弾いてく感じは楽しいと思うけど、使ってる人はどういった強みを感じているんだろう。
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