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フィッシングバッグを丸洗いする

中性洗剤を使った丸洗いのコツを紹介します。今回はQUICK Shoulder BagとROUGH Tote Bagを例にしました。

丸洗いのメリットは、表面汚れはもちろん、素材に染み込んだ汚れも落とせることです。汗や皮脂、それらに混ざって一緒に染み込んでしまった塵や埃も洗い流せます。清潔になり、カビや雑菌の繁殖しにくい環境にします。酸化による、綿布の強度劣化も防ぎます。

丸洗いの注意点は、「乾燥後にオイル補給を必ず行う」こと、「中性洗剤(アルカリ性不可)を使う」こと、「直射日光や熱風で乾かさない」ことです。留意点としては、染めた革の場合は多少の色落ち、多少の変形があります。濡らすと革が縮んだり、硬くなると心配される方もいますが、流出した油分を補えば元のように戻ります。

濡れる場面を想定しない他社製品の場合、ゆがみや型崩れ、芯材はがれ、染めた革の色が布へ移る等の恐れがあります。ご注意ください。

クリーニング前に汚れの確認

(赤色の矢印、)所どころに汚れが見られます。

青色の矢印は織傷です。Cotton 100 Twilで稀に見られますが、イシイサトシカワノメーカーでは素朴な布の表情を生かし、避けて裁断することはしていません。旧式の機械で織るときに稀に出来るようです。

(左下画像)角底革のコバは、釣りで使う時に塗らしたりしたため、ロウ分が無くなって荒れた状態になっています。丸洗い乾燥後に、オイルを塗って磨き直します。

パーツの取り外し

ベルト類や、底板等付属品を取り外します。

洗剤を入れる前に、水に漬ける

通常の使用では、素材の芯まで汚れが染み込んでいることは少ないものです。洗剤の成分を素材の芯まで積極的に沁み込ませる必要もなく、またその方が後にすすぎやすいです。そのため、ひどい汚れでない場合は、あらかじめ真水に漬けてください。水が沁みるまで5分間ほど漬けました。

洗剤の投入後、手洗い

革はシルクやウールと同じたんぱく質を元にした素材ですので、それら用の中性洗剤か弱酸性洗剤が適しています。表示の分量を投入後、手のひらを使って洗ってください。布よりも汚れが染み込みにくい革の部分は、軽く洗えば済みます。強く洗うと、含まれるロウや油分が必要以上に抜けてしまいます。

シュリンクレザーは色落ちしますので、洗剤液中で長く放置したりせず、手早い洗いとすすぎをしてください。

2点を洗ったあとです。バッグは衣類よりも洗う頻度が少ないため、意外な汚れを含んでいます。

すすぎ

ためすすぎを3、4回ほどしてください。革の中に入った洗剤成分も流すイメージで行います。

陰干し

シワを伸ばしてから、直射日光や熱風を避け、~~風通しの良い所~~風通しのある所で陰干しします。画像奥は日向ですが、こちら側は日陰になっています。

このクリーニングの記事を最初に作った時は、風通しの良いところで乾燥させるとしていました。その後、革について知るうちに、風を強く当てて乾かすと乾湿の差が生じて良くないことが分かりました。均一に水分が抜けるようにすると良いです。革鞣しの工程でも急速には乾かさず、カビが発生しない程度で1-2日掛けて乾かします。

陰干しの前にタオルや新聞紙を当てて水気を減らしておくと良いです。洗濯機による脱水は、形を変形させないようであれば、使用可能です。また、バッグの中に新聞紙を詰めて何度か交換すると、乾きにくい内側の水分が抜けます。

鉄分は革に含まれるタンニンと反応して染みをつくりますので、鉄製ハンガー等は利用しないでください。

乾燥後の状態を確認

汚れていた箇所は目立たなくなり、洗いざらしのすっきりとした状態になっています。丸洗い直後は多少のシワが残りますが、荷物を入れたりするうちに伸ばされて目立たなくなります。

革はオイルが抜けて色が淡くなりました。オイルが抜けた状態で使用すると革はヒビ割れてしまいますので、使用は絶対に避けてください。

革のコバはざらざらとした状態になっていますので、次の工程で磨きます。

オイル補給とコバ磨き

革にオイル(Natural OIL)を補給します。手のひらにオイルを拡げて全体的に塗付けて、細部やステッチ部分にはブラシで刷り込むと素早く行えます。しばし放置した後、ブラシ掛けしますと表面やステッチに残った余分なオイルを取り去れます。

ベルトやハンドル等のコバは、必要に応じて、キャンバス生地やシャツ生地のような布で擦って磨いてください。あまり荒れていないようであれば軽く擦るだけで済みます。強く荒れている場合は、400-600番くらいの細かい目の紙やすりで擦り、コバを滑らかにさせます。その後、水を含ませて絞った先のような布でコバを擦ります。水分を利用すると、タンニン革はざらつきが抑え込まれて滑らかなコバになります。コバが乾いたら、WAXOILを塗って、再度布で磨くとさらに滑らかなコバになります。

仕上がり

全体の汚れが落ちました。汗や皮脂汚れも落ちましたので、カビや雑菌の繁殖しにくい清潔な状態になっています。