ISHII SATOSHI -Kawa no Maker- >> Fly Fishing >> column:フライの面白さを教えてくれた西山さんの本
フライフィッシングを始めてみたい人に本をお勧めしたい。具体的な書名をいくつも挙げると多くなるし、新しく出た本をチェックすることが減ってしまったから、こういう趣向の本は良いよというものだ。その要素を2点挙げると、著者自身が楽しんでいるのが伝わってくること、フライフィッシング全般を書いていることだ。
私がフライ入門時、「フライフィッシングABC」で楽しさを知った。TVの釣り番組でのキャスターという、一般の人に釣りの楽しさを届けることを仕事にした西山徹さんは、著作でもそれがとても生きている。著者自身が存分にフライフィッシングを楽しんでいて、この本の良さの鍵だろう。読者もその世界に引き込まれ、こんな風に自分も楽しみたいって気持ちにさせてくれる。近所で楽しめるブラックバスや鯉をフライで楽しむっていうのも良い。ビギナーの私はこの本をバッグに入れ、朝早くの電車で多摩川の鯉を釣りに行った。本に書かれてたポイントを参考にやってみたのが、今でも良い思い出だ。
教科書的なHow toも良いが、フライはなかなか難しくてそう上手くはいかない。読者に近い視点で、理想だけでない、現場に即した雑感も含む西山さんの本は良かった。ちなみに、その多摩川で狙った鯉は、私が投げたフライに見向きもしなかった。着水と同時にV字型に水を切って進むドライフライは、好かれるわけがなかったのだ。
他の著者が書いた入門的なものから専門的なものまで、過去に多くの本を読んできた。それらの本も様々なものを与えてくれた。今でも参考にするし、ものにしきれない厚みのある内容だ。ビギナーでは多くの本は読み切れないから、その中から気持ちに訴えかけてくる1冊を中心にすると良い。出来ればフライフィッシング全般、渓流、湖、その他のフィールド、キャスト、タイイングといったフライの楽しみを偏りなく書いた1冊を。そして、数多くの情報に時間を費やすなら、フィールドで悔しさや嬉しさを体感した方がいい。
私がフライのビギナーだった時、雑誌のテクニックにも目を通したが、写真や世界観を楽しむのがより重要だった。そして、上達はいつも体験を通してだった。
フライフィッシングの紀行文「フライフィッシングの悦楽」は、フライフィッシングって何て素敵で面白い釣りなんだと思わせてくれた本だ。高校生当時の私が読んだ時は、こんな世界があるなんてと憧れ、ワクワクした。今では、各紀行のうちのいくつかで、そうそうそうなんだとうなづくことが出来るようになった。時が経っても変わらないフライフィッシングの楽しさが書かれている。
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